2025.01.20

須田 敏子教授:労働新聞連載「ジョブ型人事のリアル」第7回・第8回の内容を掲載

須田 敏子教授

須田 敏子教授

須田敏子教授の労働新聞への連載(全12回)について、今回は、第7回・第8回の記事内容(新聞紙面・PDF版)をご紹介します。
長期雇用、ジョブの内容・人的要件の不明確さなどの特色を有する日本型人事によって、多くの面で問題が発生し、その結果、日本経済の30年間にもわたる長期停滞をもたらす大きな要因となりました。

数多い問題のなかから、連載第7回では女性のキャリア開発が進まない問題を、第8回では自己啓発意欲を阻害する問題を取り上げ、日本型人事がなぜこのような問題を発生させているのかを解説しています。

女性のキャリア開発が進まない問題の原因には、キャリアの前半では新卒同期入社の社員間で大きな昇進格差をつけず、多くの社員が長期にわたって出世競争を繰り広げていく日本型人事の特色である「遅い選抜」が挙げられます。この長い出世競争の期間は、さまざまな仕事を経験するキャリア開発期間であり、同時にこの期間は、出産・育児期と重なっています。その結果、出産・育児負担の多くを女性が担っている日本の現状では、出世面でもキャリア開発でも、女性は不利になってしまっています。人口の半分を占める女性という人的資本を十分に開発・活用できず、その結果、経済成長が阻害されているのです。

経済成長のためには人材開発が重要なことは言うまでもありませんが、日本は諸外国と比べると圧倒的に業務外の自己啓発活動が低調となってしまっています。その大きな理由は、自己啓発した結果が見えないという日本型人事にあり、これに対して、日本以外のジョブ型・マーケット型人事の国では、自己啓発が生み出す効果が、昇進・報酬など処遇面での効果に目に見える形で連動するため、自己啓発意欲が向上することとなるのです。こちらの面でも、日本型人事が経済成長を阻害してしまっているのです。

「ジョブ型人事のリアル」第7回(PDF)

「ジョブ型人事のリアル」第8回(PDF)