2021年度SDGsコミュニティ・マーケティング体験談

担当:宮副 謙司教授

「可能性の天井を外す」

篠﨑 哲也さん(2020年度イブニングコース入学)


篠﨑 哲也さん

なぜ履修したか

第一に、私が社会人生活を通じて関わってきた障がい者福祉事業における課題の一つである就業問題について、コミュニティ・マーケティングの観点から解決策が見つけられるのではとの期待です。第二に、ABSでの授業履修を通じて社会課題にチャレンジする価値が深まっていたことです。第三に、SDGsに取り組むべく環境省へ転職し活動するABS修了生の影響です。

授業で学んだこと

私にとって本授業での大きな収穫は、SDGsとビジネスは結びつきが強く双方に影響しあうことに確信が持てたことと、その結びつきを発揮するためには視野を広げ可能性の天井を外す事とシチズンシップを醸成しコミュニティ・マーケティングの力を存分に発揮する必要があるということの理解を得られたことです。

第一のSDGsとビジネスの結びつきについては、今回の授業でのSDGsへのアプローチは、百貨店という場を通じて考えることであったわけですが、SDGsに取り組む様々な業界の商品が百貨店に集まり、百貨店がそれらを編集していること、そして顧客はそれらに興味関心を寄せることが分かりました。逆にみれば、SDGsという社会課題に取り組むことは、既存のビジネスモデルや生産設計や流通、販売スタイルの変化に繋がるということです。

第二に、課題解決にあたり過去の延長線上でなく今まで関わっていない角度から物事を見てみることや、最新の科学やデジタル技術に対する知見を学び採り入れることが、可能性の天井を外すことだということを、日本環境設計の授業内講演や、中間プレゼンでの諸先輩方からのアドバイスから実感できました。また、最終課題である井上百貨店(松本市)へのSDGs提案に際しての現地調査で、伝統工芸と食品の掛け合わせや、廃棄物を養豚に結び付けた開発の話を伺い、ビジネスの掛け合わせとしてSDGsの課題解決として出来たら面白そうという単純な発想が意外にも可能性の天井を外すことになることを学びました。

第三に、井上百貨店が地域企業として既に取り組んでいた松本蜜蜂プロジェクトやアートと食品のコラボや、学生連携プロジェクトなどを知り、今後さらに松本という地域に関わる産業・住民・行政をどれだけ共感させ、開発生産段階から関り、学びと経済を循環させていくかを考えていくことになりました。その活動は正にシチズンシップの醸成であり、CtoCマーケティングの取り組みそのものであると感じました。

学んだ内容を今後どんな風に活かしていきたいか

この授業を通じての学びは、私の当初の履修目的である障がい者福祉事業への関わりを強めることに、そのまま応用可能であろうと考えています。まずは今関わりを持っている障がい者福祉事業者と、業界の課題を再度共有してどのような取り組みが障がい者にとって面白く、彼らと関わる様々な雇い主たる事業体や地域住民に価値が高いのかを検討していきたいと思います。

また現在神奈川県伊勢原市の同年代の事業者と、50年前に途絶えた日向石産業復活のプロジェクトに関わり、いかにして地域活性化とSDGsの課題解決が出来るのかを検討しています。今回授業で出会った良きメンバーとも連携していきながら私のフィールドワークとして多くの地でそのような関わりを持って活動していきたいと考えています。

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