2022年度マネジメント・ゲーム体験記

担当:岩井 千明 教授/福井 一枝 先生

「経験は唯一無二」

宮崎 誠さん

宮崎 誠さん(2021年度イブニングコース入学)(外資系製薬会社勤務)

なぜ履修したのか、その理由

薬学部を卒業し医薬品開発の分野で仕事をしてきた自分にとって、会社経営は遠くの存在として感じていました。青山ビジネススクールに入学を決めたことも、職務上で経営的視点の必要性を認識したことがきっかけでした。マネジメントゲームは経営体験を疑似的にできることが最大の魅力で、入学目的を達成するためにふさわしい授業に思えました。特に、頭で理解していても実際に行動できないことは多々あります。座学だけでなく、身をもって体験できることこそ必要な学びと考え履修を決めました。また、この体験を一緒に挑戦できる仲間の存在も重要でした。素晴らしい仲間との出会いがあっての履修決定でもありました。いくつかの要因が重なった結果としてこの授業に巡り合えたことに感謝しています。

授業で学んだこと

マネジメントゲームはカーネギーメロン大学のプログラムを用い、仮想空間で時計製造販売会社の経営を行います。複数の他大学から参加する経営チームと経営成果を競うことで経営の疑似体験が得られ、この体験を通じて得られるすべてが学びといっても過言ではありません。

経営を開始するためには、経営方針、目標設定、意思決定、実行、経営成果報告などに対する様々な事前準備が必要です。1年次に習得した知識を総動員して取り組む必要があり、復習を兼ねた知識や理解の整理を行うことで会社経営の準備を行いました。この復習はとても重要で、後に発生する問題や困難をどれだけ事前に想像できていたかは、実際の経営場面にも通じるものがあると感じます。そしてマネジメントゲームではこの会社経営が単なる「シミュレーションゲーム」に終わらない仕組みがあります。その一つが学外のメンバーによって構成される取締役会の設置でした。取締役は会社運営の評価や取締役会議決事項に対して意見することができます。取締役会の設置は単なるステークホルダーの追加にとどまらず、経営監視機能の追加を意味することから、経営チームには経営戦略の説明義務と報告義務が課せられます。例えば会社を運営していくためには、一つ一つの決め事に説明を加え意味を持たせる必要があります。様々なものに意味を持たせ、それらが繋がることで無機質だった会社が有機的に振る舞い始める感覚は、まさに会社や組織に息を吹き込むような貴重な体験でした。

体系的な知識習得だけでなく、経営の一貫性、報告や説明の在り方、経営チーム内の責任配分や情報共有など、広範囲におよぶ情報統合をゼロから始めることはとても大変なことでした。ですが、苦労の先にある感動や喜びは経験した者にしか味わえない、この体験こそマネジメントゲームからの最大の学びだと思います。

学んだ内容を今後どのように活かしていきたいか

マネジメントゲームでの経験を振り返ると、あの時✕✕をしていれば、○✕な視点を持っていたら等の自己反省が頭をよぎります。これは多くの経験者が考えることではないでしょうか。同じ条件なんて二度と起こり得ませんが、今なら何ができるかを考えたりします。当時の自分が持てなかった選択肢を一つでも多く増やしていくことが、今の自分の成長なのだと感じます。

そして何よりも重要なことはチームの存在です。学びを共有し意見を交え、楽しい時も思うように進まない時も全員で向き合い乗り越えました。単なるチームではなく、卒業後も繋がり続ける素晴らしい仲間ができたことも自分にとっての財産になりました。

わずか4か月という期間でしたが、たくさんの学びと経験が詰まった素晴らしい授業だと思います。授業を進めていただいた岩井先生および福井先生、カーネギーメロン大学のLamont先生、ご支援いただいた取締役の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

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