福田 育弘さん(2020年度イブニングコース入学)(東急株式会社勤務)
私がこの授業を履修したのは、総合格闘技とも評される「企業経営」の実践の場として、ABSのマネジメントゲームこそが最適と考えたからです。
1年次に学んだこと、これまでのキャリアで得た知識、そして仲間たちの叡智を結集して臨む本科目は、まさに総合格闘技そのものであり、企業人である個人にとってはこれまでに経験したことのない未知の領域だといえます。私は、そんな他では経験できない学びを得たいという決意のもと、本科目の履修を決めました。
この授業で学んだことは星の数ほどありますが、あえてひとつあげるなら「取締役会議」です。この授業ではCEOを中心に4~5名の学生で経営チームを形成して臨みますが、一方OB・OGを中心とした4~5名の取締役メンバーも同時にアサインされます。私はCEOとして、会社の3か年経営方針や、毎年の決算報告ならびに次年度の改善計画、組織設計や役員報酬、株主配当等を取締役に上程して承認を得る必要がありました。これまでCEOは会社で最も偉くなんでも決められると思っていましたが、私の立場はあくまで株主からの信任を受けた取締役から更に監督を受ながら業務執行をする立場であり、その意思決定ひとつひとつに「説明責任」が生じます。日々刻々と変わる競争環境の中、この説明責任をしっかりと果たし、企業価値をあげていくことこそが経営者の仕事なのだと痛感した授業でした。
本授業での学びは、将来経営という立場についた時に大いに役立つと考える一方で、目の前の仕事にもすでに生きています。それはマネジメントゲームの本質が「皆で力を合わせて価値を高めていくこと」だからだと、私は考えています。上記取締役会で私は、「君は会社を回しているだけで、会社の価値を高めることは行っていない。」と痛烈な指摘をいただきました。私はこの“回す”と“高める”の違いに気付いたことで、自身が今行っている仕事を再度見つめ直し、高めるとはどういうことかをよくよく考えるようになりました。そして価値を高めていくためには、チームメンバーとどんなアクションが必要かを協議・設計し、リードできるようになったと感じています。
これからのキャリアで、今後も数多くの仕事と向き合っていくことになりますが、この“高める”を意識して、チームを引っ張れる存在へと更に成長したいと思います。
最後になりますが、マネジメントゲームを通じて得たかけがえのないメンバーたちと、数々の示唆をいただいた取締役各位、そしてご指導いただいた岩井教授・福井先生に改めて心より感謝申し上げます。また、これからABSに入学を検討される方、マネジメントゲームを履修される皆様にとって、この体験談が少しでもお役に立てたのであれば幸いです。ABSの入学ならびに本科目の履修、強くお勧めします!