2015年度マネジメント・ゲーム取締役を務めて

一生もののスキルと仲間を手に入れられる

槇尾 茂樹さん(ネオス株式会社 新規事業開発担当役員)

経歴:神戸大学法学部卒。日本電気(株)、(株)テレビ東京ブロードバンドを経て、2004年、プライムワークス(株)設立に参画。現在、ネオス(株)にてクラウド関連、IoT関連、エデュテック関連の新規事業開発担当役員。

今回ご縁をいただき、初めて青山ビジネスクールのマネジメントゲームの取締役としてフルタイムの学生チームを担当させていただいた。
そして、この学習プログラムの完成度の高さと効果の大きさを強く実感した。
簡単ではあるが、以下にその所感を述べさせていただく。

まずは、会社経営や事業運営に必要な知識を列挙してみる。
・ビジョニング、事業戦略、中期計画、予算策定
・商品企画、マーケティング、競争戦略、価格政策、プロモーション戦略
・財務、管理会計、原価計算、生産管理、流通政策
・データ分析、統計解析
・企業価値マネジメント、情報開示、株価・配当政策、IR、CSR など。

これらに加え、ビジネスパーソンには下のような基本スキルが求められよう。
・プロジェクトマネジメント、プロデューシング
・コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメント、ネゴシエーション
・プレゼンテーション、ドキュメンテーション
・リスクマネジメント
・グローバルセンス(含む語学) など。

驚いたことに、本プログラムを履修することで、これらのスキルの実務での活用の勘所のほぼ全てを、網羅的、有機的に学ぶことができる。

私は、大企業とベンチャー企業をほぼ半々に経験してきたが、大企業では体系だった知識習得の機会は多い一方、総合的なスキル動員のチャンスが少ない、ベンチャーは総合的な経験を積むには良いが、OJT中心で偏りが生じがち、などバランスよい総合的なスキル開発を実務のみを通して行うのは意外に難しいものだ。

マネジメントゲームで準備される実戦さながらの緻密なシミュレーション環境は、この実際の実務を通してすら得ることの簡単ではない、アウトプット訓練の場を理想的なバランスで提供してくれる。そして、座学等でインプットした知識やスキルを、統合的かつ汎用的に活用可能な『知恵』へと昇華し、実務で活用可能な『武器』のレベルへと引き上げてくれる。

加えて、刻々と変化する実際のビジネスの現場は、両立困難な様々な矛盾だらけである。
・ビジョン実現、中長期戦略、投資リスクテイクと、当面の利益確保
・俯瞰的全体的視野での戦略と、具体的かつ実行可能な戦術各論
・調べ尽くし考え抜く姿勢と、スピード
・ブレない姿勢と、フレキシビリティ
・競争と、協調 など挙げればきりがない。
こうした絶対の正解のない困難な課題に対し、自ら締め切りを設け意思決定を繰り返していく、このいわばビジネスパーソンの基礎体力とでも呼ぶべき全人格的なスキルは、本来真剣勝負の『本番』の 場数を踏むことによって身につくものだ。

3ケ年度を数カ月に圧縮して行なわれる本プログラムでの密度の高い、本番さながらの実践経験は、こういったビジネスパーソンとしての底力までも、身体に入れる、腑に落ちる、といったレベルで効果的かつスピーディーに、身につけさせてくれるように思う。

このプログラムに真摯に取り組み、最後までやり切れば、間違いなく一段も二段もの実力アップを図ることができるだろう。人によっては別人のレベルにジャンプすることも可能に思える。数カ月にわたるこのプログラムをこなすことはとても大変だ。しかし、やり切った学生達の「大変だったけど自信になった、終わってみればとても楽しかった、一生の仲間ができた。」といった声を聞くにつけ、同志として一緒に修羅場をくぐったことで、学生のみなさんが大きく成長され、何かかけがえのないものを手に入れた様子が伺える。

みなさんもマネジメントゲームにぜひ挑戦してみてはいかがだろう。きっと仕事を続けていくうえでの一生もののスキルと仲間を手に入れられるはずだ。私も、このプログラムを若い時に受講しておきたかった、心の底からそう思う。