2019年度ファイナンス・アンド・テクノロジー体験談

担当:武田 澄広教授

「ビジネススクールを超えていく学び」

片寄 貴友さん(2018年度フレックスコース入学)


片寄 貴友さん

なぜ履修したか

テクノロジーは我々の生活や文化を変える大きな力を持っています。ビジネスも例外ではなく、テクノロジーによって新らしいビジネスが生まれ、その一方でテクノロジーによって既存のビジネスが廃れていく現象は想像に難くないと思います。特に近年テクノロジーは抽象化し、インターネットによって容易に共有される様になったことで、テクノロジーが適用される範囲は広がり、その成長のスピードは飛躍的に早くなっています。私自身はこのFinance&Technology(F&T)で学ぶような最先端の技術とは縁遠い仕事をしており、いち生活者としてこの様な変化を漠然と感じていたのですが、ABSでビジネスを様々な角度から捉えていく中で、いちビジネスパーソンとしてテクノジーに対する洞察力、本質を見抜く力を養いたいと考え履修に至りました。

授業で学んだこと

2019年度のF&Tでは、量子コンピューターとブロックチェーン技術を主要テーマとして学びました。2019年はGoogle社が量子超越性の実証を発表したり、Facebook社がLibraのリリースを発表したりと、どちらも現実の問題に直結した内容でした。

量子コンピューターでは、量子コンピューターの仕組みだけでなく、そのベースとなる量子力学にも一部触れ、既存のコンピューター(チューリングマシン)との違いや、その違いから生まれる特徴(それぞれのコンピューターの向き不向き)といった基礎から応用までを学びました。またブロックチェーンでは、RemixとMetaMaskというテスト環境を用い、実際にプログラム(スマートコントラクト)を作成し社会実装を想定した稼働実験まで行いました。

そしてF&Tの集大成として、銀行や証券会社といった実務家の方々に対しチームで作成したブロックチェーンプログラムの発表を行いました。実務に取り組まれている方々からその場でフィードバックを貰うことで、金融業界におけるブロックチェーン技術の認知度や可能性・今後の課題などを実感しました。

ちなみに、内容だけ見ますと理系の素養や金融の素養が必須と思われますが、私自身は文系で非金融系の従事しておりどちらの素養も無い中、思い切って履修しました。知識ゼロからでも十分に修了できますので、ビジネスとテクノロジーの関係に興味のある方は是非前向きにご検討ください。ビジネススクールではビジネス分野での確立した理論、実証された方法を学ぶことが主となりますが、未完成の知識・技術を学びビジネスへの応用を志向するこの科目は非常にユニークで、他のビジネススクールでは得難い経験が得られると思います。

学んだ内容を今後どんな風に生かしていきたいか

テクノロジーは常に変容・進化していくので、F&Tで学んだ内容も数年経てば陳腐化します。テクノロジーを学ぶということは常に知識を蓄積し情報を更新していく作業ですので、ここで学んだことを基礎として学んだ内容を更に深化・進化させていきたいです。特にブロックチェーンの技術は、現時点では金融の世界での活用が試みられておりますが、その特性からサプライチェーンの構築などの実業の世界でも大いに活用できるのではないかと考えています。F&Tで新しいテクノロジーへのアプローチ方法も学べたので、これらの知識・ノウハウをベースに研鑽を続ける事でビジネスへの実装を試みていきたいと考えています。

ファイナンス・アンド・テクノロジー 授業風景
ファイナンス・アンド・テクノロジー 集合写真
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