授業を受講して学んだこと -「故郷」と「はみ出しぶどうプロジェクト」と
久保田 裕一さん(2021年度イブニングコース入学)
私が「地域活性化のマーケティング」(担当:宮副謙司教授)を受講した理由は、実践的なマーケティングの学びの場を得られるという点、もう一つは、少子高齢、地方創生といった今まさに日本国内で話題となっている議題をマーケティングでどう解決していくのか?について興味があったからです。これは、私自身が長野市松代(まつしろ)町という地方出身者であることと、実家がぶどう農家であることからこれらの議題は非常に身近にとらえることができたのが宮副先生のこの授業を受講したきっかけでした。
授業は、基礎科目で学んだマーケティングのフレームワークをベースに加えて、より実践的かつ具体的な事例(実際の地方の優良企業がケースとして)がふんだんに取り込まれています。講義中に、必ずディスカッションの時間が設けられているので、宮副先生と学生とのより深い議論になっていきます。それぞれ分野の第一線で経験を持った受講生もいるので、時には、更に最新かつ高度な議論に展開していくこともこのクラスの醍醐味の一つです。最終的には、4,5人のグループに分かれ、各チームで地方活性化のマーケティング的視点から見たテーマを選定し、発表するスタイルになります。
我々のチームは、長野市松代町を取り上げ、その地域特性から主要産業の分析を行いました。結果、松代町が得意とする産業領域、特異性を引き出すことができました。結果、ブドウ栽培に適した土地ということだけでなく、松代は、古来教育分野との結びつきが強いことから、教育プログラムと一体化した地方創生が可能ではないかという結論に達しました。
このビジネスプランは、講義の最後でグループ発表の後、ABSのOBとの交流を通して、このテーマが授業だけでなく、外部にも展開することになり、OB会で組織しているネットワーク(AOHUB)、更には、外部のアイデアピッチコンテストにて、「SDGsはみ出しぶどうプロジェクト:ぶどう栽培過程の廃棄食材を活用し化粧品・お茶を作る循環型体験教育事業」として発表されることになりました。
「地域活性化のマーケティング」は、アカデミックな理論と、より実践的な学びをバランスよく学べるクラスでありながら、時に授業だけでなく、より大きな枠組みで展開していことができるきっかけを提供してくれる場でもあります。また、このクラスを通して学んだ内容を、普段の身近なケースに落とし込んでいくことで、改めて自身の故郷や、出張等で訪れた町の成り立ちについてより深く洞察し考え、その学びを継続していくきっかけになっています。