松元 涼子さん(2017年度フレックスコース入学)
この授業では、個人が所属するフォーマル、インフォーマルな団体や組織、人が構成する各種のソーシャル・ネットワークが持つ意味やその役割、働き、企業経営に与える影響を、学術的な観点と現実の諸問題の分析・解釈の双方から学びます。授業は中野先生が執筆された教科書を軸に、組織論の変遷やバリエーション、理論に関する日本語・英語の文献や新聞記事・TV番組などを参照しながら、ディスカッションを軸に進められます。
具体的には、ソーシャル・ネットワークの定義から始まり、個人から集団への変化、組織のヒエラルキー構造などを学び、組織の在り方が人間関係や仕事のパフォーマンスに与える影響を考えるほか、フォーマルな組織とは別に、その中に生まれるインフォーマルなネットワークの存在を理解し、マネジメントの観点から対応や活用方法までを広く議論します。特に印象に残っている理論に、「弱いつながりの強さ(The strength of weak ties)」があります。ゆるくつながるネットワークだからこそ、多様な情報を効果的に入手・活用することにより、イノベーションを生んだり、強さを発揮することがある。このコンセプトは仕事でもプライベートでもみられる事象だと感じました。
授業は、事前に教科書の該当箇所や関連文献を読んでから参加することが求められます。クラスでは中野先生がパワーポイント資料に基づき解説を加えながら、常にディスカッションの機会が設けられます。席が近い4~5名でのディスカッションと、そのあとクラス全体に向けてチームで議論した内容を発表するスタイルが取られました。今回は47名という大人数クラスになりましたが、個々人が発言できる機会も豊富で、とてもインタラクティブな授業でした。中野先生が作り出す自由闊達な雰囲気の中、個性的な意見が展開される授業はとても楽しく刺激的です。その場では繋がらなかった様々な発言や問題提起が、後から考えてみると線につながってじわじわと学びが訪れるような、味わい深い授業です。
また、一見、組織とネットワークとは直接関連のないように見えるオフィスデザインのプロとのセッションなど、ゲストスピーカーとのやり取りから発見することも多くありました。働き方や効率の上げ方、人とのかかわり方まで、幅広いディスカッションにつながり、興味深かったです。このクラスは積極的にディスカッションに参加したい人におすすめです。そして時間が許す限り、先生が示す参考文献を読んでから授業に臨むと、より深い学びを得られます。自戒の念を込めつつ、今後履修する皆さんには、ぜひ深度ある予習・復習をお勧めしたいと思います。