「マーティングの基礎を学ぶとともに、企業経営の多くの場面で活かせることを知る」
伊藤 雄太郎さん(ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ株式会社)(2022年度イブニングコース入学)
ビジネスパーソンの中で、「マーケティング」という言葉を聞いたことがないひとはいないと思います。一方で、「マーケティング」とは何か?と問われたときにひとことで説明することは案外難しいのではないでしょうか。この授業では、米マーケティング協会による定義を採用し、マーケティングを『顧客にとって価値を持つ提供物(顧客価値)を創造し、伝達・提供するプロセス(仕組み)』として学習を進めます。
この広範な定義の通り、全15回の授業で多くのテーマを扱います(例:STP、製品戦略、価格戦略、コミュニケーション戦略、流通チャネル戦略など)。
いずれのテーマについても、理論と事例の両方が用意されており、マーケティングに関する基礎的な知識を網羅的に学習することができます。各事例は一般消費財に関するものであることが多く、私たちの生活に馴染みのあるものですから、学習していて非常に楽しいです。私が一番楽しかったのは、実在するコーヒー製造/販売事業者の、最上位ブランド商品の売上拡大に向けたマーケティング戦略を立案するグループワークです。フィールドワークや各種調査を実施し、問題点を特定して打ち手を検討。最終プレゼンは当該企業のマーケティング部門からフィードバックも受けることができて、机上の学びを超える経験となりました。
ABSに設置されているマーケティング諸科目は、各専門領域を横断し、個別知識・技能を統合して思考する能力を養成することを念頭に置いて設計されており、本授業はその土台としての基礎固めにあたります。
しかし、私は必修科目として本授業が持つ意味はもうひとつあると感じています。それは、マーケティングに限らず、ABSで学ぶ全ての授業の基礎であるということです。
企業による活動を『自らが創り出す価値を実現させて顧客に届けること』と表現するならば、それは本授業におけるマーケティングの定義と一致します。
価値の伝達/提供方法を考えることは、一見マーケティングとは無関係に思える他領域と繋がります。例を挙げれば、ポジショニングや流通チャネルを考えることは戦略論、価値の実現には企業文化やモチベーションといった組織行動、価値提供の方法を考えることはオペレーションズマネジメントに繋がります。単にマーケティングの基礎知識を習得しただけではなく、各領域の内容を連関させながら学びを進めるという極めて重要なことを早期に気づくことができたのは非常に意義深いことだと感じています。
投資業に従事しておりますので、投資先の営業戦略についてヒアリングする際に先方の営業責任者の狙いが分かるようになり、こちらからの質問もこれまでより粒度の高いものになったと思います。また自社や投資先、共同投資家のビジネスについて上記「価値伝達・提供プロセス」の枠組みで捉えるようにもなりました。これまで「なんでこんなことしているのだろう?」「何故あのやり方なのだろう?」と漠然と考えていたことに対する答え(のようなもの)を見つけられるようになりました。