2020年度アドバンスト・コーポレート・コミュニケーション体験談

担当:伊藤 晴祥准教授/高山 与志子先生/小方 信幸先生

「ACCは先進的MBAのNew Normal」

早田 麻子さん(外資系コンサルティングファーム勤務)(2019年度フレックスコース入学)


早田 麻子さん

なぜ履修したか

折しもアクション・ラーニング最終決定時は、世の中はパンデミックに対する危機感がありました。COVID-19から発したパンデミックは、市場メカニズムを変え、資本主義のあり方も変えていきます。

そんな中、ステークホルダーの解釈が、かつての株主から従業員や顧客、その先にある環境やマイノリティーまで含んでいく傾向が読みとれました。コロナ対策は経済や企業収益にも影響、株主を優先して対応できるものではなく、国を越えて色々な視点で配慮しなければならない背景を考えると、世の中の価値観の変化と企業価値、評価も連動する事は明らかでした。

その様な課題意識から、パンデミック後New Normal となる価値観、評価軸の中で必要となってくる知識を考えたとき、確信をもって、ESG、サステナビリティ経営、ステークホルダーコミュニケーション等について学べるアドバンスト・コーポレート・コミュニケーション(ACC)を選択したといえます。

授業で学んだこと

サステナビリティファイナンス、コーポレートガバナンス、CSV、IR等の領域でプロフェッショナルな講師陣と共に、非常に充実したカリキュラム設計となっています。
本プログラムのゴールは、CCO(Corporate Communication Officer)としての知識とスキルを得る事です。CSV=経営戦略と位置付け、経済的価値(財務)+社会的価値(非財務)についてグローバル社会や資本市場における企業価値を正しく評価するだけでなく、各ステークホルダーとのコミュニケーションスキルをタイムリーな事例と活発なディスカッションを通して習得します。

幅広く、多くのインプットと刺激がありましたが、重要性を認識したことは大きく2点です。

・サステナブル経営のカギは「CSV(Creating Shared Value)」
社会価値を上げつつ、経済価値を上げる知恵が求められます。社会課題に企業として取り組むためには、この2つの価値を両立させることが、大きな経営課題となります。ベストプラクティスを分析し掘り下げていきました。(ネスレ、ユニリーバ、サノフィ等)

最終プレゼンプレゼンテーションでは、投資家、アナリストの視点で2社の統合報告書を分析、比較、評価を行います。「企業、経営者に“志(Purpose)”があるかがCSV実行可否を決める」という仮説のもと、財務との相乗効果、マテリアリティから社会へのインパクト推測、長期シナリオと実現性を分析します。バックキャスティング思考で設定した目標に向け、全社員で実践できるかまでの評価プロセスは非常に貴重な企業分析経験となりました。

・IRオフィサーは資本市場のキーパーソン
株主や投資家に対して投資判断に必要な情報を提供するIRオフィサーとしての、戦略的思考、公平さ、双方向のコミュニケーション力の重要性とシナリオのアーキテクチャーを学びます。公平で信頼性のある資本市場形成の為に重要なスキルとなります。

そのためのインプットとして必須である「幅広いグローバル視点(IR規定、SDGs、各国資本市場特性、文化、背景)」、「専門的な知識(ファイナンス、ガバナンス、コンプライアンス等)」多くのインプットを得ます。アウトプットとして、「高い倫理観」の必要性を理解し、表現、コミュニケーションの実践の場が毎回提供されます。

今年度は参加メンバーの女性比率が高く、コーポレートガバナンスでの女性登用についての議論では、意識の高いメンバーの多様な意見が刺激的で、今後それぞれの道で活躍されていく姿が浮かび、モチベーションアップにもなりました。

学んだ内容を今後どんな風に生かしていきたいか

現在、日本において「CSV」の意識は他先進国と比較し、出遅れ感が否めません。しかし、パンデミックを経験し意識改革は急加速しています。

このトランスフォーメーションへのチャレンジの中で、自分自身が社会的価値のあるスキルとインパクトを持ち「自社や顧客だけでなく社会や環境にとっても良い経営」の為に、様々な立場で貢献できる人材でありたいと思うようになりました。特に今後、日本での変革過程においてCG(コーポレートガバナンス)やダイバーシティの観点から重要となってくる「社外取締役」への関心が高まりました。

北川先生、伊藤先生はじめ、高山先生、小方先生、林先生という各分野での素晴らしい先生方、又、共通の課題意識と目標を共有した仲間に出逢え、新たな道筋が見えた事に心から感謝しています。この貴重な出逢いからのネットワークを積極的に活用させていただき、今後も継続的に成長、挑戦していきたいと考えています。

最後に、これから急速にCSV経営においてキャッチアップが必要となる日本において、ACCで学ぶ視点やスキル、分析力は今後MBAホルダーとして、他者との差別化になっていくと思います。

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