近藤 敏彦さん(本田技研工業 株式会社 2015年度フレックスコース入学)
現在、私はHondaで人事の仕事をしています。具体的にはHondaの開発会社である本田技術研究所で主に人事領域の中でも労務に関わる仕事を担当しており、新たな働き方や法令対応への労使間議論・施策の実行等を行っています。もともと私は2010年に大学を卒業した後、専門商社に入社し、人事領域の仕事をしていました。人事の仕事は経営と深く関係しており、経営の知識がない中で、自身の提案をすることに対する難しさを感じ、MBAを取得することに決めました。ABS在学中には専門である人事領域を更に深く学んでいくうちに、日本における労働市場・労働慣行・人事システムの特殊性と現状の事業環境へのアンマッチな点を理解することができました。その様な環境変化に対して自身がリーダーシップを発揮していきたいと強く感じるようになり、ABS卒業後に日本の人事領域に大きな影響力がある自動車メーカーへの転職を決めました。
ABSでの学びは想像以上に大きかったと思います。専門である人事領域の知識を深めるとともに、自身が馴染みの無い経営戦略やファイナンス・マーケティングの領域にも理解を深められたことはビジネスをみる視点を1段も2段も引き上げてくれたと感じています。
ちょうど私がABSに在学していた時期に仕事で役員報酬制度・確定拠出年金制度の制度設計を行っていました。人事の知識以外にもファイナンスや会計の知識を使う機会が非常に多かったのですが、ABSでコーポレートファイナンスややコーポレートガバナンスコード・株式市場の授業をとっていたので学びがダイレクトに仕事で役に立ちました。
また、日ごろ仕事をしている中では出会いえない方々とお会いできる機会に恵まれたのも大きかったです。実際に授業をしてくださる先生や同級生の方々からビジネスにおける新たな視点を得ることは非常に刺激的で自分の価値観を広げてくれたと思います。今でも定期的に食事をしたり情報交換をしたりしていますが、このような人脈は他の人にはない強みだと思います。
ビジネスを体系的に学び、日常生活で出会えない人たちと議論をすることで、ビジネスを見る視野と視点が広く・高くなったと感じています。また、専門領域の知識を深めつつ、幅広く経営全般を学べるため、今世の中でどのような事が起こり、今後どのように変わっていくのかを自分なりにストーリーを描ける力が向上したので、今後のビジョンが明確になったと思っています。
ABSへ入学する前は「本当に役に立つのか?」「時間のやりくりは出来るのか?」「モチベーションを2年間も保てるか?」といったような不安が先行していました。しかし、実際は毎日が楽しく、新たな気づきや知識を得ることにワクワクし続けた2年間でした。確かに時間のない中で、膨大な課題に対し、通勤時間中に分単位で何をインプットするか決めて対応していました。しかし、そのような中でも新たな気づきが多かったのでモチベーションを高く保てたのだと思います。
気づきが多い学びを実現できた要因にABSのカリキュラムが大きく関係していると考えています。ABSは1年で必須科目を履修しなければなりません。初めは関心の薄い科目も中にはありましたが、そのような科目も含めて経営の基礎を網羅的に学ぶことで科目ごとに相乗効果があると気づくことが出来ました。例えば、経営戦略の課題を行う際に、必須科目で学ぶミクロ経済の知識が役に立ったり、ファイナンスの基本である現代ポートフォリオ理論を理解するためには統計の知識が必要になったりします。これらは全て1年の必須科目で学ぶことが出来るので、2年の選択科目を受講する際に幅広い視点で議論ができ、多くの新たな気づきを与えてくれていると思います。