堀江 悦子さん(セガサミーホールディングス株式会社 投資マネジメント部 2018年度フレックスコース入学)
私は二十代に米国で社会人生活を過ごし、帰国後には迅速さが求められるモバイル・インターネット業界で、主に経営企画部門に籍を置き様々な業務に従事してきました。企業における様々なリスクを回避しつつ利益をもたらすべく、常に最適なガバナンス体制と事業環境を整える中で感じてきたことは、当然のことながら「絶対的な答えは存在しない」ということで、経験を積むほどに、私自身の「まだ知らないことの多さ、知識の不十分さ」をより強く感じるようになりました。
また、私がこれまでの仕事の上での成果は、私自身が持っている知識以上に、フレキシビリティやプロジェクト・マネジメント能力、グローバル環境に適応したコミュニケーション能力などの、実務的な業務で体得した対応力を生かした結果として得てきたものであり、今後も企業の様々な課題を解決すべく仮説思考をしてゆくには、体系だった経営知識の基盤を強化する必要があると実感し、その改善策として国内でビジネス・スクールに通うことを決めました。
より多角的に経営的な視座を持ち、経営の意思決定を支え、グローバルなビジネス環境で貢献できる人材になりたいと考え、ABSで学ぶことを決めました。しかし実際に得られたものは、単純にビジネスで生かせる能力だけではなく、自分の生活をより豊かにする人間力であると実感しています。
働きながら自分の納得のいくまで全ての科目に向き合って学んでいくことは、入学前に想像し覚悟していた以上に大変でした。自分が学校に通うことはあくまで個人の都合であり、周囲に迷惑をかけてはならないと配慮しつつも、どうしても学校に通うための時間の制約がつきまとうため、学校との両立に慣れるまでは、同僚が残業を続けている中で会社を出ることにためらいを感じてもいました。しかし学校に来ると、同じ環境の中で仕事をやりくりして教室に飛び込んでくる仲間の姿があり、限られた時間の中で集中して学ぶために協力し合い、励まし支え合う関係を構築していくことができました。そして、働き方改革が求められる現在においては、より効率よく仕事に取り組むべきであると捉え、この2年間を悔いなく学び楽しむためにタイム・マネジメントを強く意識して日常生活を送る習慣が身につきました。学校に通うことで培った知識や経験を生かし、より楽しんで仕事に取り組んでいくことを通じて、相談に乗ってくれた上司や同僚には感謝して報いたいと考えています。
ABSの長い歴史の中で社会人学生を受け入れることに経験を持つ教授陣は、ときに厳しくも、生徒と近い距離間で私達の学びを日々支えてくれています。また、実務家の外部講師の方々は生きたビジネスの実態からの学びを与えてくださいます。こうした環境の下で、信頼し合える仲間とともに本気で議論し、共同作業をする日々の繰り返しの中で得られる新たな気づきと学びは、決して一人では得られるものではなく、自分の価値観を変え、人間的にも成長に導いてくれます。そして、様々なバックグラウンドを持つ志の高い同級生や卒業生との交流を通じて、自分の周りに広がる世界をより広く充実したものに変えていくことができると感じています。