八木下 諒さん(Global Loyalty Indonesia(インドネシア) 2012年度フルタイムコース修了)
ABS修了後、新卒で入社したアビームコンサルティングにて、海外向けシステムのロールアウトに従事した後、現在、Pontaカードの運営会社ロイヤリティマーケティングから出向し、インドネシアのGlobal Loyalty Indonesiaで、Pontaカードの事業戦略の立案・マーケティング・データ分析業務等をしています。
インドネシアで約14,000店舗を持つコンビニエンスストアチェーンであるアルファマートを提携社の一つとして、インドネシア全国に2,500万人のPontaカード会員がいます。
設立から4年が経ちますが、いまだベンチャー企業の要素が強いため、経営戦略の立案からマーケティング戦略の企画・実施、データ分析基盤の構築と分析業務、提携者の開拓営業・既存提携社の営業活動など多岐にわたります。
学生の国際色が豊かで、国際経験が多い教授陣、また学部時代に読んでいた書籍の著者が在籍しているということで、ABSを選択いたしました。ABSでは、ケーススタディやグループワークをはじめとして、提携企業や非営利組織の経営課題を解決する「マーケティング・プラニング・プロジェクト」という体験学習科目が特徴的です。私の年度では、クールジャパンを推進する経済産業省に対して、渋谷エリアのエリアマーケティング戦略を提案するプロジェクトに参画しました。中央官庁に戦略提案をした機会は現在でもビジネスをする上で大きな糧になっています。
MBAが実務に役に立つのかどうかは議論が分かれると思いますが、私の理解ではMBAは組織の意思決定を行うに当たり、情報をどう整理し、限られた情報でどのように意思決定を行うかを学ぶ場と認識しています。この学びは、組織の意思決定に携わる際に、教育の効果が大きく発揮されると思っています。
現在、組織の経営・マーケティング・営業戦略の立案に従事していますが、情報に対するフレームワークによる整理の仕方、選択肢の評価方法、意思決定の仕方は非常に役に立っています。情報は忘却曲線に逆らわず、忘却されていくのは仕方ないですが、資料作成・議論・提案などの作業を通じて得た知識・技術はその後の人生に大きくプラスになっています。
新卒からのMBA取得の是非が問われますが、現在のビジネス経験がある状態でMBAに行くのと、当時の経験が少ない状態で吸収力が変わるかどうか、正直あまり差はない気がします。当然、発言での貢献度に差が出たりしますが、ファイナンスなどの数学の知見がある程度必要な教科を除き(MBAでは当然基礎から学べますが。)、MBAで使われる題材のほとんどは一般の方で理解ができるもので、ビジネス経験がないと理解できないものはありません(経験がないので、共感はできませんが、必要ではありません。)。
先述したとおり、MBAは限定的な情報から意思決定を行うことを学ぶ場なので、情報が難しい必要はなく、ビジネス経験がないからといって、MBAへの進学をしないという選択をする必要はないと思います。むしろ、本質的な情報整理の方法や意思決定のやり方を理解していることは、新卒時点で携わることが多いオペレーション業務を超えて、戦略的な提案能力を現場で有効活用できるのではないでしょうか。戦略の誤りを戦術では補えないため、早い段階から戦略的思考を学ぶのは大きなメリットかもしれません。
ABSでは、様々な世代や国籍の方が在籍しているため、様々な人とコミュニケーションを取ることが、大きな学びになるかと思います。私はその経験が、海外で働く上で非常に役に立っています。