藤井 祐剛さん(株式会社CALICO DESIGN 代表取締役 2013年度フレックスコース入学)
私は、2015年3月にABSを卒業し、2017年2月に起業しました。もともと持っていた行政書士の資格とABSで学んだことを生かし、地方自治体職員向け研修の企画・運営、地域産品の販路開拓支援のほか、法人設立、小規模事業者の資金調達等の経営相談、外国人の在留資格申請などを行っています。また、2018年10月からは青山学院大学総合研究所の客員研究員として、愛媛県西条市の企業による地域活性化をテーマに、研究活動も続けています。
地方自治体、中小企業からの業務の受託のほか、40年続く下町の洋食屋さん、小さなネイルサロンの経営者、脱サラしてコインランドリーを始めた方、郊外の助産院など、様々な業種の経営相談も受けています。どうすれば事業がうまくいくか、ABSで使ったテキストやレジュメを引っ張り出して学び直し、それが形になる日々を楽しんでいます。
これまでに、ABSで学んで良かったと実感する出来事がたくさんありました。例えば、2017年から宮副謙司先生に企画協力をしていただき、茨城県の地方創生人材の育成事業を受託しています。最近では、たまたま知り合った中国出身の方がABSを10年くらい前に卒業されていたことから意気投合し、その方のご紹介で中国企業が日本に進出する際の株式会社設立と在留資格の手続をしました。
数あるビジネススクールの中でもABSに惹かれた理由は、大学のメインキャンパスに通って学生生活を送れることと、食わず嫌いを許さない履修システムがあることです。
私は文学部出身で非営利機関での就業経験が長く、ビジネスに関する知識が不足していることを実感していたので、在学中は未知の領域を克服することを心掛けました。統計、ファイナンス、サプライチェーン、授業を英語で行う科目など、今やらなければ今後自分から手を出すことはなさそうな科目を積極的に履修しました。他校のMBAプログラムの中には、自分の専門性を伸ばすことに特化できるものもありますが、1年次に必修科目があることで、強制的に好き嫌いや弱点を克服できる履修システムが、私には合っていました。
起業後の自分を支えていると感じるのは、企業の社会的責任をテーマに回帰分析に取り組んだ研究論文や、日本マーケティング学会での発表といったアカデミックな経験です。一見、ビジネスと一番遠いところにありそうですが、先行事例を調べて自分なりの仮説を立て、環境分析して体系化してみるという思考を学んだことで、日々の実務で、どこから手を付ければ分からない問題にぶつかったときでも、ヒントをつかむことができるようになりました。
私の起業は、身の丈に合ったフリーランスとしての独立ですので、いわゆるスタートアップのことは語れませんが、いつか独立するのも良いなと思う方がいらしたら、ABSで学ぶことで、きっと視野と選択肢が広がると思います。
授業で学んだことも大きいですが、尊敬できる同期に出会えたことも貴重な経験です。自分ではどうすればよいか分からないとき、「あの人ならどうするかな?」と想像してみることで、手掛かりをつかめることを実感しています。
私は入学前から起業を決意していたわけではありませんが、もしABSに入学しなかったら、自分のやりたいことを仕事にするために起業するというチャンスは、巡ってこなかったかもしれません。
ABSには、500番台科目のビジネスプランニングをはじめ、起業の準備ができる科目が多く設置されています。起業を志す人を、応援してくれる先生がたくさんいます。新しいひらめきが生まれる空気感があふれる表参道に通いながら、起業の準備ができる環境はここにしかないと思います。