2019.05.15
研究においては、どのような根拠に基づいて研究方法を選択するかは非常に重要なことです。研究が妥当性を有するためには、研究方法の選択を理論的に正当化することが求められます。特に、多様な理論的背景や人間観を含むマネジメント研究においては、社会や人間に対する存在論・認識論に基づいた研究方法の選択が非常に重要となります。このたび、このようにマネジメント研究において重要な研究方法論を出版する運びとなりました。
本書は大きく2つに分かれ、「第1部研究方法論への招待」では、存在論・認識論に基づいて研究方法を選択するための具体的なプロセスが記載されています。つづく、「第2部さまざまな研究方法」では、個別の研究方法について、研究方法の特色、代表的研究例、研究方法の強みと弱みが紹介されています。取り上げる研究方法は、インタビュー、実験法と準実験法、サーベイリサーチ、エスノグラフィー、ケーススタディです。
博士号をイギリスで取得した筆者にとって、研究で選択した研究方法を理論的に正当化することは必須の条件でした。” Justify your research methodology.”(あなたの研究方法論を正当化せよ)が常に求められたのです。しかし、これは非常に難しく博士課程を通じて悩まされたものです。そして、イギリスから戻って10数年たったいま、マネジメント研究に関する書籍を執筆することになり、もう一度研究方法論を学び直した次第です。
研究方法論は難しいですが、一度習得してみると、社会や人間がどんな存在なのかをより深く知ることができます。研究者、学生、実務家など研究に携わる数多い人たちにぜひ手に取っていただければ幸いです。