2016年フレックスコース入学(在学中)白木 栄次(富士通株式会社)
今般、ABSの仲間と共に、高校生アスリートを対象としたキャリア教育事業に関するNPO法人を設立します。
2020年の東京五輪に向けて、アスリートの競技力アップやスタジアム建設に関する予算の使い道などが注目されていますが、私たちは東京五輪後のスポーツの永続的な発展と、競技引退者の社会活躍のためのキャリア形成について考えました。
一流の競技者を目指す日本のアスリートたちの多くは、中学・高校をはじめ学生時代に多くの時間をかけて、競技の練習に励んでいます。海外の高校生と比較しても、日本の高校部活動の練習時間は世界一とも言われています。アメリカンフットボール選手だった私がそうであったように、そんな厳しい環境に身をおくアスリートたちは、チームワークや集中力、忍耐力、やり抜く力といったスキルを潜在的に習得しています。しかし、それらをスポーツ以外の分野へ活かす方法を知らず、学生時代にキャリアについて考える機会がほとんどないのが実情です。反対に、考える機会さえあれば、アスリートはスポーツ以外にも勉学やビジネスの舞台など、様々な分野で活躍出来る可能性を秘めています。
「機会」がなければ、その「機会」を作ること。私たちはその活かし方を考える「機会」を創出し、アスリートの持つ可能性を最大化することを目的として活動していきます。
2016年4月、入学後間もない前期の授業で、熊平 美香先生が担当のアントレプレナーシップという科目を履修しました。この科目では、アントレプレナーのマインドと思考を学び、チームで設定したビジネステーマの具体化に向けて取り組んでいきました。ここで設定したテーマに対して、フィールドワークでの気付きや共感者のナレッジが加わり、事業化に向けて具体的なかたちで実現することができました。
アスリートのキャリアを考えるうえで必要な要素を考え、各チームの状況や目指す姿をヒアリングした上で、最適なカリキュラムを構成し提供します。カリキュラムには、ABSで学んでいることも取り入れています。例えば、リーダーシップやチームビルディングにリスクの考え方など、競技力向上に直接役立つ要素を高校生アスリート向けに構成しています。以下はコアカリキュラムとして、既にトライアルで提供しました。
▪ Shape1 「キャリアについて考える」 ~競技に関わる職業と、競技引退者のキャリア実績を学ぶ~
▪ Shape2 「チームとリーダーシップ」 ~チームワークと21世紀型リーダーシップを学ぶ~
▪ Shape3 「メディア対応とSNSの利用」 ~メディアの変化を知り、SNSの利用について学ぶ~
▪ Shape4 「グローバル視点と価値観」 ~日本の現状と世界を比較し、これからの未来について考える
▪ Shape5 「社会が求めるアスリートの新しい価値/目標と夢宣言」
トライアルは、2016年全国大会ベスト8の新潟県の開志国際高等学校女子バスケットボール部員(約30名)に対して、2016年10月~12月まで2か月間ほど実施しました。終了後のアンケートでは、総合満足度5点満点中全員が5点という高い評価を得ることができ、受講者全員が他の高校生にも強く薦めたいという声を確認することができました。また、私たちの活動の副次的な効果として、受講者のアスリートが仲間や顧問の先生の考えていることを認知することで絆が深まり、チームの一体感が促進されるきっかけにもなれることが分かりました。
NPO法人Shape the Dreamは、2017年春に法人設立いたします。(既に川崎市に申請済み)
今の時代、「変革」のスタートアップに大切なことは、「共感」だと考えます。「私も一緒にやりたい、変えたい」、「力を合わせて実現したい」といった「共感」から原動力が生まれ、人の心に響く感動に繋がります。
設立に向けて、ABSの仲間や先生方からたくさんのアドバイスや知見を頂戴しました。感謝の気持ちでいっぱいです。設立メンバーとして加わってもらった以下のABSの仲間と共に、私たちの活動でスポーツと教育界の変革に取り組んでいきたいと思います。これからもご指導とご支援をよろしくお願いいたします。
▪ アドバイザー:熊平 美香先生
▪ 理事:下世古 侑大(2016年フルタイムコース入学 在学中)
▪ 監事:大野 光昭(2016年フレックスコース入学 在学中)
▪ 会員メンバー:近藤 敏彦(2015年フレックスコース入学 在学中)
▪ 代表:白木 栄次(2016年フレックスコース入学 在学中)