「震災復興と日本の未来についてのグランドデザインプロジェクト」への参画

「2011年東日本大震災」の提起した課題、震災危機対応ならびに、震災後の日本を検討する趣旨で慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)が企画したプロジェクト「Grand Design by Japan - With the 2011 Quake and Tsunami Projects」にABS学生(佐伯悠さん、久村洋介さん、石川大樹さんの3名)が参画し、10ヶ月間にわたる調査・研究活動を行い、その成果を報告しました(2012年3月17日報告会)。下記は、3名を代表してリーダー役の佐伯悠さんによるそのプロジェクト活動概要の報告です。

プロジェクトの正式名称:
グローバル・ビジネス・フォーラムによる日本のグランド・デザイン策定を行う融合型実践教育(慶應義塾創立150年記念事業未来先導基金プログラム)「Grand Design by Japan - The 2011 Quake and Tsunami Project -」

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2011年フルタイムコース入学 佐伯 悠

本学に入学するまさにその直前、「3・11」が起きた。その震災は多くの日本人に価値観の転換を迫る機会を与えた。我々も入学を前に各々が掲げた目標は確実に変わった。

被災地が抱える課題の根源は、震災の影響、その有無に関わらず、共通する既成原因からもたらされているのではないか。震災から受けた直接的な被害を一義的に解釈することは、短絡的な「復旧」作業を推奨する言い訳を擁護することに繋がり、震災をあくまで通過点として、以前と以後を結ぶ創造的作業、つまりは「復興」を妨げる要因となりかねない。

問いに対する解答の模索が続く中、本学の宮副謙司教授から興味深いプロジェクトが慶應義塾大学大学院経営管理研究科(略称、KBS)から他のビジネススクール学生に向けても公募されているとの話を頂戴した。2011年5月のことである。

このKBSのプロジェクトは、「半教半学」をモットーに、異なる専門性、異なる世代を越えた知見共有の場を座学、及び実習にて実現することを目的にして、2011年4月から毎月フォーラムが開催され、東北の復興支援のあり方について広く議論が展開された。我々は、6月の中途選考によってプロジェクトに参加し、自らに課したテーマ「地域の持続的成長のための戦略立案」、更には東北被災地に焦点を当て、約10ヵ月間に亘り、研究を続けることになった。中でも、被災地宮城県での仙台フォーラム(8月26日-28日開催)では、現地視察、インタビューなどを行うことができた。その後、本プロジェクト活動代表者のKBS姉川教授の指導を受けながら、調査研究、報告書作成を行い、2012年3月の研究成果発表会を終え、本プロジェクトの修了を迎えた。

学外での課題取組はモチベーションの持続の点、または内外のバランス調整の点から非常に負荷がかかる厳しい持久戦となったが、振り返ると、ここで得たものは計り知れない。
何より、異なる背景を土台に持つ(経営学以外)方々からの指摘は日々気づきの連続であった。

改めてこの場をお借りして、貴重な学びの場を提供してくださった宮副教授、我々に対し真摯に教授してくださったKBSの姉川教授、そしてプロジェクトのメンバーに感謝の意を示したい。真に有難うございました。