インターネットビジネスプロジェクト(IBP)を履修して

担当教員:井田 昌之 教授、小宮 紳一 非常勤講師、西村 一彦 非常勤講師

渡邊 敬太郎さん(ソニー株式会社)(2017年度フレックスコース修了)

ITのエンジニアとして仕事をしている私は、技術をビジネスと結びつけて社会に貢献していくための力をつけるために青山ビジネススクール(ABS)に入学しました。そのような背景を持ちながら基本的な知見を1年生で学び、それを包括的に、かつ現実のものとしてアウトプットしていく学びが大切だと考えインターネット・ビジネス・プロジェクト(IBP)を履修することにしました。

このIBPは、4つのステージから構成されています。

ステージ1では、IT導入に対する自身の実力や思考の傾向を把握すること、導入における基本的なプロセスを学ぶこと、事業とITとを結びつける際の大きな課題でもあるプランニングの重要性やコスト見積もりの難しさなどを学習します。

ステージ2では、ITシステムを用いたビジネスを行うために、実際の構築を通じたWebサイトの構築体験と共にシステム開発・運用計画の立案を行います。ここではグループで活動を行い、Webサイトを構築する上でのポイントひとつひとつ学んで完成させていきます。また、スマートフォンアプリの開発を外部に発注し、アウトソースを活用しながらシステムに落とし込んでいく体験ができます。

ステージ3では、ITを活用したビジネスアイディアを考え、事業計画を立案することをゴールにグループで活動をします。ビジネスの種を考えることから始まり、自身のビジネスアイディアの価値の追求、それを実現するために必要となるリソースの明確化、起業することを想定した戦略・マーケティング・財務・人材などを包括的にまとめた3ヵ年事業計画の立案、そしてそれをステークホルダに伝えるための事業提案のプレゼンテーションを行います。

ステージ4では、ステージ1~3で学んだことを振り返り、ステージ1時点の自分と比較しながらどのような成長・学びを得たかを明確にします。そして、IT関連の最近の動向や把握しておくべき知見(SEO/SEM、O2Oの戦略など)を学びます。

私がIBPを通じて得た、特に重要なポイントは2つあります。ひとつは、IT分野においてビジネスを立ち上げるためのシステム開発・運用の計画や事業計画の立案について0から取り組むことで、それまでにABSで学んだ各分野の知見が有機的につながってくることです。もうひとつは、事業の真の価値を見据えて徹底的に議論し、考え抜くことでゴールへの道筋を見つける体験ができたことです。事業計画の策定において、我々の商材の競争優位性や財務面での整合性が見いだせず計画立案が頓挫しかけましたが、限られた時間や情報の中であっても、真剣に徹底的に考え抜き、仲間と議論を交わすことで事業内容や計画が洗練されていき、最終的には事業化できると自信をもって発表できるまでに至ったこの一連の体験は500番台科目ならではの貴重な価値だと考えます。

これらの学びは、性別・年齢・国籍などの多様性を持った学生から構成されるグループでの活動であることと、各分野での豊富な経験や専門性を持たれた3名の先生方による指導によるものだと考えています。今や事業を行う上で欠かせないIT分野を取り扱った包括的なマネジメントを学べるインターネット・ビジネス・プロジェクトはABSの集大成として最適だと考えます。

(2018年3月執筆)