地域活性化のマーケティング[専門科目(300番台)]

担当:宮副 謙司教授

「地域活性化のマーケティング」授業を受講して
2015年フレックスコース入学 堀 城斗 (MRM//McCANN Tokyo)

「地域活性化のマーケティング」では、昨今の人口減少や超高齢化による担い手不足、地場産業の衰退など、地域が直面する様々な問題に対し、マーケティング視点での問題解決手法について学ぶ講座である。講座前半では、宮副教授の提唱する地域活性化マーケティングの分析フレームワークを用いて、日本各地の事例研究を行い、地域資源の発掘から、価値の創造・伝達、実現におけるノウハウを学習した。また、実際に地域活性の現場で活躍する当事者をゲストスピーカーに迎え、最新の取り組み事例や、理論だけでは片付けられない地域のリアルな現状とそれに立ち向かう現場の取り組みについての貴重なお話しを聞くことができた。中でも、地域活性の先進事例として脚光を浴びる、徳島県神山町でNPO法人グリーンバレーの理事として「神山塾」を運営する祁答院氏の講演は、非常に印象に残っている。同氏の人の心を動かす人間力と、不動産コンサルという場で鍛えられたビジネスセンスを武器に、スピーディーな地域おこしを実現する手腕には、経営の本質を垣間見ることができた。

また、講座後半では、今まで学習した地域活性化の評価・分析メソッドを活かし、自らが興味のある分野を選択し、事例研究を行った。小生は、「食と農」というテーマにフォーカスし、岩手県で山地(やまち)酪農を実践する「なかほら牧場」について研究を行った。同社の商品開発から製造、ブランディング、販路開拓などの取り組みを通じて、6次産業化における成功の秘訣を学ぶ一方で、行政や地域住民を巻き込み、社会システムとしての変革を遂げることの難しさについても学ぶことができた。

そして、本講座で最も思い出に残っているのが、有志で参加した徳島県神山町での課外研修であった。本研修では、授業で学習を行った徳島県神山町に実際に足を運び、地域活性の現状を確認するとともに、取り組みを牽引するキーパーソンへのインタビューを通じて、地域活性における成功のヒントのみならず、今後の自分の生き方や働き方についての貴重な示唆を得ることができた。

最後に、本講座の魅力を一言で言うならば、まさに、アカデミックな理論とリアルな現場を意識した実践とのバランスにあると思う。今後、所属企業のCSR活動の一貫として地域の問題に取り組みたい、またビジネスマンとしてのスキルを活かし、自らが地域のために貢献したいと考えている学生の方には、最良の講座であると思われる。

神山町NPO里山みらいへのインタビュー

現地での研究報告会