マレーシアのUNITAR International University、
スセラ先生の講演会に参加して

李 セイカさん(2015年フルタイムコース入学)

マレーシアのスセラ先生のご講演についてご報告させて頂きます。 2016年11月2日水曜日、北川先生の500番台科目、Advanced Corporate Communication(ACC)のクラスに、マレーシアのUNITAR International Universityのスセラ先生が来訪され、マレーシアにおけるコーポレートガバナンスの現状および今後の課題解決に向けた取り組みについて講演されました。

スセラ先生は、UNITAR International Universityのビジネス・テクノロジー・アカウンティング学部の学部長を務め、マレーシア公認会計士協会の理事でもあり、今までマレーシアの会計界をリードしてこられた優秀な研究者の1人です。

ご講演では、ビジネスとガバナンスとの関連性についてお話がありました。それは、ビジネスが様々な利害関係者と関わり、市場を取り巻く環境が変化する中で、政治、社会、環境などから影響を受ける為、ステークホルダーとの良好な関係を維持することが益々重要になってきているという点です。したがって、相互の利害関係を円滑に調整するために、または健全な企業経営を達成するために、コーポレートガバナンスが不可欠であるというお話でした。

そして、スセラ先生が強調していたことは、会社が法人であり、複数の人間が集まって創られるわけなので、コーポレートガバナンスにはその人間の心(良心)などを含めた人間性が重視されるべきであるということでした。

それから、スセラ先生は、マレーシアのコーポレートガバナンスの歴史的発展過程や、コーポレートガバナンス規定を解釈・適用する上で重要な部分についてご説明いただきました。マレーシアは、1997年のアジア金融危機から脱却する1つの国家政策として、マレーシア企業、特に上場企業のコーポレートガバナンスの改善に取り組んできました。マレーシアのコーポレートガバナンス規定は、主に、イギリスのガバナンス原則を参考にして、自国に導入したそうです。そしてマレーシア経済団連が2000年に初めて「マレーシア・コーポレートガバナンス規定」を公表しました。取締役会の構成や役割、取締役会における独立性をもつ取締役の比率を高めることなど、さまざまなルールが規定されました。そして、「マレーシア・コーポレートガバナンス規定」は、2007年と2012年に改訂され、2016年には最新の規定が公表されました。

スセラ先生のお話を伺い、1997年からわずか20年間で、マレーシアの上場企業を中心とするコーポレートガバナンスは大きく改善されてきたという印象を受けました。マレーシアのコーポレートガバナンスは、アジア諸国の中でも先進的であるということを理解する貴重な機会でした。

最後に、スセラ先生からのお願いです。第29回アジア太平洋の国際アカウンティング会議が、2017年11月5日~8日にマレーシアのクアラルンプールで開催される予定です。興味がある方はhttp://www.apconference.orgへ是非ご参加くださいということでした。