そもそも私のABS入学の動機は何だったのか?どうしてABSだったのか?

鷲見 孝さん(株式会社エムディーエス 代表取締役社長 2010年フレックスコース修了)

ファッション業界での経験が30年を超えた2007年後半、当時専務取締役として在籍したフランス系高級ブランドの売上も絶好調だったのですが、私には納得できないことが2点ありました。1点は私自身の過去の成功体験が頭の引き出しの主要部分を占めてしまい、目の前の課題解決や新しいチャレンジに対し過去の引用にすがり新たな創造が乏しくなりつつあることに気付きだしたこと。もう1点は日本の消費者の動向が大きく地殻変動を起こしだしていると日頃の商売で感じだし、従来の手法では今後10年間を勝ち残りえないと実感していたことです。こんな、もやもやしたままワークライフを完遂することは不可能と考え、自分自身をリセットするには?自分自身の棚卸をするには?と種々考え、MBA入学を決意しました。

ABSには、実務経験豊富な教授陣がいる点が学問だけにとどまらない、実践を求められる私としてはABS選択の決め手となりました。全ては自分の為にという強い動機が私費負担となり、何でも貪欲に吸収しようという意欲につながり実際、大学生の頃の4年間とは比べようもない、人生で一番勉強した2年間となりました。

当時の自分に自己疑問を抱き、ABSに通い、培った知識・能力が現在どのように役立っているかというと、卒業後転職し、現職に就き真っ先に行った一連の作業に凝縮されています。産業・業界分析、同業他社及び自社分析、会社の方向性の明確化、会社ビジョンの策定、ビジネスモデルの決定、3ヶ年計画の策定、ロードマップの作成等々は入社後ただちに私自身が行い、全社員に発表し、これを共有し現在この実行に取りかかり、PDCAサイクルで廻してゆこうとしています。この過程で、儲かっている会社だからこその現状肯定や変化することへの懐疑心などと戦い議論し、これを説得せしめ会社全体を大きく舵を切る行動を伴いました。これらはABSで新たに修得した能力が成し得た成果でありますし、この自信が今日私の全ての行動の礎となっていることも事実です。

ABSの2年間を有意義にするのは、あなた次第です。つまりあなた自身の強い問題意識と、結果を求めるあなたの欲求がどれだけあるかがあなたの今後を大きく左右する変数なのです。最初は漠然としていたものが、次第に輪郭を現し、そして最終的にはアップグレードされたあなた自身の知識・能力が確たるものを導き出すツールとなり、気がつけば2年後にあなたは進化して変身しているのです。