第7回京都文化ベンチャーコンペティションで
ABS学生チームが2つの企業賞を受賞しました。

2014年3月2日、第7回京都文化ベンチャーコンペティションの最終審査が行われ、ABSの学生が中心となって活動する「キモノッチ・プロジェクト」が提案するビジネスプラン「着替える腕時計で世界を京都に ~キモノッチ」が2つの企業賞「京都信用金庫賞」と「とやら賞」を受賞しました。

プロジェクト名:

「キモノッチ・プロジェクト」

メンバー:

代表:廣瀬彩さん(フレックスコース2012年入学)
鈴木克巳さん(フレックスコース2012年入学)
須田真魚さん(デザイナー)

概要:

このコンペは国際日本文化研究センターや京都府などがつくる実行委員会が主催するもので、文化や芸術を基盤に新しい視点でビジネスを創造する起業を支援することを目的に行われています。今回は全国から約320件の応募があり、書類審査、二次プレゼンテーション等を経て、最終審査には13組が進み、公開プレゼンテーションが行われました。

「キモノッチ・プロジェクト」が提案するアナログの腕時計「キモノッチ」は、友禅・西陣織・源氏物語・嵯峨野竹林・名所旧跡をモチーフにデザインされたベルトを簡単に付け替えできるのが特徴です。このプロダクトはABSの授業「マネジメントゲーム」の中で企画したものを元に、今回のコンペに合わせてブラシュアップしたものです。試作品も作られました。この「キモノッチ」にはすでに複数の企業から打診があり、4月に海外で行われる受注会にも出品する予定です。

2012年フレックスコース入学 廣瀬彩

美は、切り取られるところから始まる。
世界をトリミングすることで我々は記憶し感動を胸に抱く。
あなたのその視線。
それこそが美への扉なのだ。
-キモノッチ商品コピーより-

システムエンジニア(ABS) +舞台俳優(ABS)+デザイナーという一風変わったメンバーで構成されたキモノッチ・プロジェクト。まさに異色の組み合せ。イメージを描くひと、可能性を論理的に裏付けるひと、実現のために足をつかうひと。私たちは、それぞれが得意分野を活かしながら協働できる、バランスの良いチームとなった。
このメンバーで参加した京都文化ベンチャーコンペティション。そこで提案した「キモノッチ」は、外国人観光客をターゲットとするアナログの腕時計で、「バリエーション豊かな着替えられるベルト」にその最大の特徴を持っている。
「キモノッチ」の構想は、ABS設置科目の目玉のひとつである「マネジメント・ゲーム」で誕生した。同クラスでは、架空の時計会社を設立して6カ国の市場で腕時計を販売し、その利益を世界各国で学ぶMBA学生チームと競う。通常、製品そのものよりもオペレーションに力点が置かれる科目だが、そこでこのプロダクトの核が出来上がった。「日本の文化を活かしたプロダクトを」という私たちのプランに友人デザイナーが応えて生まれた「キモノッチ」は、製品として高評価を受けた。(社員の不眠不休の努力が認められ、私たちが経営していたドレノス社のMarketing Planは世界第3位に食い込んだ)

そしてこの授業終了後、前述の異色コラボレーションが成立。「京都文化ベンチャーコンペティション」に応募することとなった。今回で7回目を迎える同コンペティションは、京都府・京都商工会議所等がつくる実行委員会が主催し、京都の文化を使ったサービスやプロダクトを公募している。私たちキモノッチ・プロジェクトが参加した2013年度の応募数は318組。そこから書類審査が行われ28組に絞られた。第二次の京都府庁でのプレゼンテーションを経て、13組がファイナルに駒を進めた。その間に、中小企業診断士との面談、プレゼンの練習会等各種プログラムが組まれ、授賞式を含め、私は12月から3月までの間に東京京都間を6往復することとなった。
二次審査通過チームの名簿を見てはじめて分かったのが、そのほとんどが既に法人としてビジネスを展開している企業であったこと。私たちのように、法人化していない学生チームは非常にレアな存在であった。他チームには既に商品化されている「モノ」があり、それがプレゼンテーションに説得力を与えていた。ファイナルで上位を狙うためには、試作品が必須。直前に知り合った時計業界の方から香港の会社を紹介していただき、プレゼン4日前に試作フェイスを入手。ベルト部分はデザイナーが手作りした。資料提出前は、徹夜作業となった。
コンペティション初参加でありながら、ファイナルに進出でき、更に企業賞をふたつ手にすることが出来たのは、支えてくださった方々(プレゼン資料にご助言くださった岩井先生、授業後に私のプレゼンを聞いてご指導くださった牧田先生(ビジネスマーケティング)、個別に相談にのってくれたABSの仲間、突然の電話や訪問に快く応じてくださった専門技術者の方々)のおかげだと感じている。

このコンペに参加したことで、「キモノッチ」には事業化という選択肢も見え隠れし始めた。受注会出品のお話をいただいたり、いろいろな可能性を提案していただいたり…。だが課題もある。製品のコアである「ベルト」の国内での発注場所がまだ見つけられていない。第一歩をどのように踏み出すのか或は踏み出せるのか…。これからもみなさまのご助言をいただきながら、状況を見極めつつ道を切り開いて行きたいと思っている。

全ては出会いから始まる。
ひととひととの交流によって、我々は新しい世界を知りその感動を胸に抱く。
コミュニケーション。 それは新しい世界への扉なのだ。
-ABS修了にあたって-
【製品概要】

日本の美しい風景や世界に誇る芸術・文化を“切り取って”日常的に身に纏える腕時計、それがキモノッチだ。その核となるのは「着替えられるベルト」である。伝統的なテキスタイル・美術・観光名所などをモチーフにデザインされたベルトは、3つのラインナップ(Art・Photo・Pattern)からなる。多種多様なベルトの中からお気に入りを選び、コレクションすることが可能。ファッション・気分に合わせて簡単に付け替えられ、身につけることで日本訪問の感動をいつまでも鮮明にする。 キモノッチのターゲットは東京オリンピックに向け急増する外国人観光客。軽く、嵩張らずリーズナブルな価格で外国人向けの土産物の定番をめざす。

【今後の展開】

2014年3月、同製品は「京都文化ベンチャーコンペティション」において、318→13組という難関をくぐり抜け最終審査に進出、ふたつの企業賞を受賞した。
本商品は京都の文化を伝えるプロダクトとして考案されたが、地域に限定されることなく、白いキャンバスのような「キモノッチ」の自由さ柔軟性を活かし、2020年の日本を映すプロダクトになりたいと考えている。